どうも、マサ先生です!
今回は大学生・大学院生・ビジネスマン向けに、理系レポートの書き方を紹介します。
私は、一部上場企業にて
・実験レポートの作成業務を5年
・実験レポートの添削業務を4年
経験してきました。
10年近い経験で培ってきた Tips を紹介いたします。
詩的な表現や文学センスは全く不要(むしろ邪魔)
機械的にルールに従って書く
レポートが書けない理由
レポートを書くのが苦手という方は、なぜレポートを書くのが苦手なのでしょうか。
これまで数多くの実験レポートを作成し、いろんな部下の実験レポートを添削してきた経験から言うと、
レポート=作文の延長と勘違いしている
という方は、レポートを苦手と感じるようです。
レポートは万国共通で理解しやすいように、いろいろなルールが決められています。そのルール通りに書いていけば、自然と上手なレポートを書くことができます。
レポートを書けるようになるために
レポートを書くためには、レポートのルールを守る必要があります。代表的なものをいくつか紹介すると、
・具体的に数値を用いて書く
・学術的に推奨される言葉で書く
・自己流で書かない
それでは、1つずつ説明していきます!
結果は過去形、考察は現在形で書く
最も基本的なルールですが、意外と守れてないケースが多いです。
例えば、
× HClとNaOHを混ぜると、中和熱が発生した。
〇 HClとNaOHを混ぜたところ、熱が発生した。これは中和反応による発熱と考えられる。
「混ぜる」というのは、実験操作=実験事実ですので、過去形で書きます。
熱が発生したことも事実ですので、過去形で書きます。
熱が中和反応によるものなのかはこれだけでは分からないので、現在形で書きます。
特に、書き始めのころは、結果と考察の書き分けを難しく感じることが多いかと思います。
うまくかき分けるコツは
結果と考察は文章を分ける(一文にしない)
ことです。
× AとBを混合したところ、白い気体の発生が観測されたが、これはCガスが発生したためと考えられる。
〇 AとBを混合した。結果、白い気体の発生が観測された。これはCガスが発生したためと考えられる。
一文を短くすると、注意も行き届きやすいですし、別の問題(主語述語の不一致など)も起こりにくいので、明瞭なレポートに仕上がります。
時制のケースで、唯一の例外は、
・結果を表1に示す (are shown in Fig. 1)
の「示す」です。表1の内容が実験事実であっても、
× 結果を表1に示した (were shown in Fig. 1)
とは書きません。ご注意ください。
具体的に数値を用いて書く
これも作文感覚が抜けていないと、やってしまいがちです。
× Aではピークはあまり出なかったが、Bではかなりのピークが出た。
〇 AとBとで観測されたピークの本数は、Aが3本、Bが12本であった。
理系のレポートでは、人によって印象が変わりうる表現は極力さけましょう。
NG事例ですと、Aのピーク数を1本と思う人もいれば、50本と思う人もいるかもしれません。
OK事例ですと、誰が読んでもAのピーク本数について、意見が割れることはありません。
誰が読んでも、自分の伝えたい内容が伝わるか、
× 熱くなるまで加熱した
〇 80℃を超えるまで加熱した(実測値:80.2℃)
× よく混ぜた
〇 スターラー(~~製○○:型番12345-67)の目盛りを3に合わせて、15分間攪拌した
× 長時間放置した
〇 3 hr 静置した
自分の書いた表現が、書き表せる中で、最も具体的な表現であるのか、自分でチェックしてみましょう。
学術的に推奨される言葉で書く
レポートをプロっぽく見せるためには、品の出る言葉というものをいくつか覚えておくといいでしょう。
- ピークが出た → ピークが観測された
- AとBとに違いがあった → AとBとの間に有意な差異が認められた
- すごく増えた → ドラスティックに増加した
品の出る書き方を学ぶためには、上手な人のレポートを読む、真似ることが重要です。
次のトピック「自己流で書かない」にも関係します。
もし、「この表現ってもっといい感じにならない?」という質問があれば、コメントいただければ、回答いたしますので、ご遠慮なくご質問ください!
自己流で書かない
盗作しましょうということではありませんが(笑)、自分で一から文章を書くことは、レポートでは避けたほうが無難です。
可能な限り、これまで読んできた論文・学術書で使用されている表現のみで、レポートを作成することが重要です。
そのためには、
上手な人のレポートを真似る
ことが成長の近道です(上手な人が身近にいれば、その人に添削してもらうとなお良い)。
私の経験談ですが、京大の化学実験の授業の1つ(教養課程)に、
・教科書通りに実験をやって、
・そのレポートを提出する
という講座がありました。
最初は、教科書を見ずに、自分の実施したことを真面目にレポートに書いていたのですが、その内、教員から、
・自分で書くな!実験事実だけ過去形に修正して、教科書を写せ!!それで単位やるから!
と言われました。
今にして思えば、レポートの基本の型を学ぶための指導だったんだなと分かります。
実際に手を動かして真似るというのは、一見、非効率的に思いますが、とても優れた勉強法です。
まとめ
理系レポートを書くコツは、
・具体的に書く
・上手な見本を真似て書く
ことです。
ここでは紹介しきれないルールもありますが、紹介したルールを守るだけでもレポートの質は格段に上がると思います。
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今回は、理系レポートの書き方を紹介いたしました。次回は、ビジネス文書の書き方について、紹介予定です。
それでは、See you again !!